ダンロップフェニックストーナメント

大会レポート

11月20日 最終日(日曜日)

月曜日   火曜日   グルメロード名店8軒ご紹介   プロゴルファーの好きな宮崎名物は?   名物13番ホール(332ヤード、パー4)の誘惑
第1日目(木)   第2日目(金)   第3日目(土)   最終日(日)  

武藤俊憲が通算12アンダーで2年ぶりのツアー4勝目を飾る
「このままで終わりたくはない!」武藤俊憲ハーフ30の大爆発で2年ぶりのツアー4勝目を手にした理由  
風の“本質”を読み切った武藤とまだまだ経験が必要な松山との差  


武藤俊憲が猛チャージ・63をマークし、4打差を大逆転!
通算12アンダーで2年ぶりのツアー4勝目を飾る

武藤俊憲

 通算4アンダー・6位タイで最終日のラウンドをスタートした武藤俊憲が、1番ホールでバーディーを奪うと、前半で3連続バーディーを含む6バーディー・ノーボギーの30をマーク。首位と4打差を一気にひっくり返し、リーダーボードの頂点に駆け上がった。

 ハーフターン後もその勢いは衰えず、10、15、17番ホールでもバーディーを奪って2位との差を広げていく。

 最終18番ホール・パー5では、ツーオン狙いの2打目をグリーン左に外し、3打目をバンカーに打ち込むトラブルとなり、4オン・2パットのボギーを叩いたものの9バーディー・1ボギーの63、通算12アンダーでフィニッシュ。2位に4打差をつけての大逆転劇で、2年ぶりのツアー通算4勝目を飾った。

武藤俊憲

 大会3日目が強雨によるコースコンディション不良のため、競技は54ホールに短縮された。36ホール終了時点で通算8アンダー・首位に立っていたスペインのゴンサロ・フェルナンデス-カスタノは、思うようにスコアを伸ばせず、1バーディー・1ボギーの71で回り、通算8アンダー・2位に終わった。

 フェルナンデス-カスタノに1打差の2位で発進した谷原秀人は、75とスコアを乱して10位タイ、最終日に68をマークしたシェーン・ローリー(アイルランド)とリッキー・バーンズ(アメリカ)が3位タイ。単独5位には18番ホールで、この日唯一イーグル奪取でギャラリーを湧かせたブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)が食い込み、7位には片山晋呉、藤田寛之、薗田峻輔の3人が入った。

 10年全米オープン覇者のグレーム・マクダウエル(北アイルランド)は通算4オーバー・38位タイ、2週連続優勝の期待を集めたアマチュア松山英樹選手は77と崩れ、通算5オーバー・43位タイでフィニッシュ。「予選通過することが一番最初の目標だったので、それはクリアー出来ました。ドライバーとパットの精度をもっと高めたい」。松山選手は初出場の収穫と今後の課題を得て、クラブハウスを後にした。



「このままで終わりたくはない!」武藤俊憲ハーフ30の大爆発で2年ぶりのツアー4勝目を手にした理由

武藤俊憲

 今年で第38回目を迎えたダンロップフェニックストーナメントは毎年、世界中から名だたる選手が来日し、覇を争う。これまで日本人選手は5人しか優勝トロフィーにその名を刻んでいない。中嶋常幸、ジャンボ尾崎、片山晋呉、横尾要、そして昨年大会の池田勇太。日本ツアーを主戦場にしている選手にとっては、メジャーに匹敵する大会だけに、熱い想いを抱いて出場する。

 本大会の火曜日、練習ラウンドを終え、ドライビングレンジでショットの調整をしている武藤俊憲がいた。ツアーは本大会を含めて残り3試合。最終戦は今年のツアー優勝者と賞金ランキング25位までの選手が出場資格を得る。武藤は、すでにその出場資格を確定させてはいたが、優勝者ではなく賞金ランキング上位者というカテゴリーだった。

 「ツアー最終戦に出場できるのは光栄ですけど、未勝利というのが引っ掛かるんですよね。このまま勝てずに出場するのも…。このまま(未勝利で)終わりたくないんです」と武藤は呟いた。ゴルフ雑誌で連載コラムページを持つ武藤は、編集担当記者に本音を明かした。 「締め切りにはまだ時間がありますから、今週の日曜日まで(脱稿を)引き延ばしましょう。コラムのネタを作ってくださいね」と編集担当記者。「わかりました。日曜日に18番ホールで優勝トロフィーを持ちますよ(笑)」と武藤は冗談半分、本気半分でそう答えていたのだ。

 その翌日の水曜日。クラブ契約メーカーが同じことから、「何かと声を掛けて頂くようになった」(武藤)という世界の青木功から、直々にレッスンを受けた。「それも1時間近くもみっちり教えてもらって、ショットが見違えるように良くなりました」。  07年からツアー参考記録として加わった「トータルドライビング」部門。ドライバーショトのフェアウエイキープ率と飛距離をポイント換算して算出するのだが、武藤は07年から3位、1位、10位タイという成績を残している。「飛んで曲がらないティーショット」。これが武藤の真骨頂、武器だ。「僕はとにかくドライバーで飛距離を稼いで、フェアウエイからピンを狙う。すべてはドライバーショットの良否で、自ずとスコアを見えてくるんです」。

 昨年は、その武器が錆び付き、思うようなゴルフが出来ず、一時は賞金シード獲得が危うい時期さえあった。しかし、オフのスイング、クラブ調整が奏効して、今年は未勝利ながら賞金ランキング上位をキープしていたのだ。「僕にとって『神様』の青木さんからレッスンしてもらって、残り3試合で行けそう(優勝できそう)と思えた。いや、予感が確信に変わったというのが正解かも知れません」

 そして迎えた大会最終日。その確信が、実現に変わる時を迎えた。スタートホールでバーディを奪うと、3番ホールから3連続バーディ、7、8番ホールで連続バーディ。ハーフ30ストローク。武藤自身の9ホール最少ストロークタイ記録をマーク。首位と4打差を一気に逆転し、その後は首位街道を爆走するかのようにバーディを積み上げて行く。

 これまでの3勝のうち、2勝は最終日の逆転優勝。06年のツアー初優勝は64をマークしての7打差逆転、09年の3勝目もまた64をマークして2打差を逆転する勝利。最終日の爆発力はツアー界屈指でもあるのだ。 「これで自分自身、ダンロップフェニックスの優勝者として胸を張って最終戦に出場できます」。表彰式のウイナーズスピーチでは、言葉を詰まらせ、目を潤ませるシーンがあった。誰よりもこのタイトルに掛ける熱い思いがあった証だろう。会心のツアー4勝目によって、「逆転男」の異名を手に入れるとともに、念願の優勝トロフィーにToshinori Mutoの名を刻む。



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風の“本質”を読み切った武藤とまだまだ経験が必要な松山との差

松山英樹

 強風の最終日。昨日の雨の影響でグリーンは柔らかくなり、ボールは止まりやすい状況だったものの、風の強さから言って、今日のフェニックスはやさしくないなと誰もが感じていた。

 ところが優勝した武藤は、この日だけでバーディを9つも量産している。結果、2位以下に4打差をつけての圧勝劇で大会は幕を閉じたわけだが、武藤は優勝者会見で風は気にならなかったと話す。

 フェニックスカントリークラブと言えば松林に囲まれたシーサイドコースで、海風をどう読むかが難しいことでも有名。実際、フェニックスカントリークラブをよく知るプロキャディは、プロにここの風の難しさを伝えるのは難しいと言う。理由は、プロは基本的に大きめのクラブを持つことを嫌がるからで、それは彼らがピンオーバーすると寄せにくく、入れにくいということを本能的に体が覚えているからだ。

 それなのに武藤はなぜ風が気にならなかったのか。風用の特殊な打ち方を駆使していたのだろうか?武藤が言うには、この日の風は陸からの風で、海からの風ではなかったとのこと。「海風は重さがあるので、今日の風が海からだったらどうなっていたかわからない。陸からの重さがない風は吹いていることだけを気にしていればいいだけで、良いショットをすれば影響されることはないだろうと思っていました」。このコメントに今日の勝利の要因が詰まっていると言っても過言ではない。

 対照的だったのが松山英樹。先週の試合で優勝し、月曜日に宮崎入りした松山は、そのまま練習ラウンドを開始。18ホールまわり終わった後、記者から「今日は無風に近かったけれど、風は気になった?」という質問に対して、松山は「今日は無風でしたか??」と聞き返した。この日の松山のボールは、上空でかなり流されていた。本人も、最初は風を気にしていなかったようだが、あまりに流されるので気になり出したとのこと。自分の球質が軽いのかとまで思ったほどだ。実際の風は1m程度。ただ、これがフェニックスの海風特有の重さで、松山自身もこの日の体験を覚えていたのだろう。最終日は、2日目の勢いのまま、上位進出が期待されたが、結果は6オーバーの77で通算5オーバーの43位タイに終わった。もし、武藤のように今日の風が海ではなく陸からの風だとわかっていたら、上位進出の可能性も多いにあったのではないだろうか。言い換えればフェニックスでチャンピオンになるためには、まだまだ経験するべきことがたくさんあるということ。この経験を糧にいつの日かフェニックスの歴史に名前を刻んでもらいたいものだ。



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