1987

アンディ・ビーンのボールが忽然と消えた
1987年大会2日目

1978年大会のチャンピオン、アンディ・ビーンが日米対抗、カパルア選手権と日米2週連続優勝をひっさげて参戦した1987年のことだ。3アンダー11位タイと好調なスタートを切ったビーンだったが、2日目に4番ホールでトラブルに見舞われることになる。ティーショットは右サイドのラフ方向に飛んだ。飛距離は約280ヤードだったが、行ってみるとボールがどこにも見当たらない。ラフは浅く見えなくなるということはない。250ヤード地点に松の木が2本あり「木の上かも」と探してみたが見つからない。「誰かが持って行かない限りなくなるような打球ではない」とビーンの顔は真っ赤に染まる。最初日本の競技委員を呼び、さらに米ツアーの競技委員を呼び2組も後続をパスさせて訴えたが、結果は「ロストボール」。宣言をして打ち直しこのホールをボギーとする。イライラを引きずったまま次の5番ホールに進むと、第3打のアプローチが前方の木に当たり、今度は本当に木の上に球が止まってしまった。このホールをトリプルボギーとしてしまい思わず出た言葉は「ガッデム(ちきしょう)」。ひときわ大きな声がグリーンサイドに響き渡った。 この日は外人選手達にとって呪われた日だった。この年の全米オープンチャンピオンのスコット・シンプソンは13番で芹澤信雄のボールを間違えて打つという誤球事件を起こし、メジャー3勝のラリー・ネルソンは15番のティーショットを曲げて木の手前から打つ際に木に当たってしまいシャフトがぐにゃり、自分でシャフトをポキリと折って「ガッデム」。3者3様、滅多に見ることの出来ないトッププロ達が壊れてしまった一日だった。