1974

ジャック・ニクラウスが見せた奇跡のリカバリーショット
1974年大会1日目

大会の歴史を語る上で外すことの出来ない選手、それが帝王ジャック・ニクラウスだろう。なぜなら大会の趣旨に賛同したニクラウスが第1回大会に米ツアーの選手を連れて参戦してくれたことに始まるのだから。そんなニクラウスが見せてくれたスーパープレーがこれだ。軽く右にドッグレッグしているこのホールで、ニクラウスは松林の上からショートカットを狙ったがボールは無情にも右の林の中に落ちてしまった。4mほど前方には松の木の枝が2mほどの高さで張りだし、さらに40ヤード前には木立が並んでグリーンを遮っている。ピンまでは約140ヤードで、木の枝と木立と2つの障害が立ちはだかっている。木の枝の下をくぐり抜けるには低い球が必要だし、木立を越すには高い球が必要だ。さらにグリーンを狙うにはスライスをかける必要も出てくる。この状況をニクラウスは見事に打ち破って見せたのだ。ニクラウスの説明はこうだ。「まずボールを真ん中に寄せるんだ。そして球を低く出すためにクラブフェースをシャットにし、スライスをかけるためにスタンスをオープンにしたんだ。結果、ほぼ狙い通りに打てたんだ」大ギャラリーが固唾をのんで見守る中、ニクラウスのショットはピン左5mについたのだ。 一緒に回っていた村上隆が「素晴らしいリカバリー。ショートアイアンで低く出て、高く上がる球を思い通りに打てるとはパワーがあるからこそ出来る芸当だ」と絶賛、さすがは帝王という一打だった。